既卒・第二新卒者の理想はリモートワーク?出社?

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2020年から大流行した新型コロナウイルスをきっかけとして、よく耳にするようになった「リモートワーク」という働き方


弊社サービスを利用される登録者もリモートワークを希望される方が増えてきていますが、果たして既卒・第二新卒者にとって、リモートワークは必ずしも理想の働き方といえるのでしょうか?

既卒・第二新卒者のリモートワーク求人への就職・転職成功率

リモートワークで採用されやすい人のはどんな人?

オランダ・フローニンゲン大学(University of Groningen)行動社会科学部に所属するキリアキ・フシアニ氏ら研究チームの調査結果によると、「会社の採用担当者はリモートワークでの採用の場合、人柄含めたコミュニケーション能力よりも仕事の実務能力を重視するようになった」と報告されています。

<1つ目の研究>
304名の採用経験が無い(もしくは浅い)一般人が参加。
もし自分が人事担当者の立場なら、【リモートワークの環境】においてどちらの候補者を採用するか選択する実験。

※候補者について※
①「能力が高い」が「社交性が低い」人物
②「能力が低い」が「社交性が高い」人物

結果として、リモートワークにおいては、
”①「能力が高い」が「社交性が低い」人物”が選ばれやすいと判明しました。

しかしリモートワークなしの通常出社の環境では、候補者の選ばれやすさに違いはありませんでした。

この実験から、採用経験がない人たちでも、リモートワークではコミュニケーション能力よりも実務能力を重視する傾向が見えます。

<2つ目の研究>
採用担当者として働いてきた298人が参加。
現在の会社や部署で誰かを採用するケースを想定して、1つ目の研究と同じ候補者①②のどちらを採用するか選択する実験。

その結果、採用担当者の職場がリモートワーク制度がない場合、”②「能力が低い」が「社交性が高い」人物”が選ばれやすいと判明。

しかし、採用担当者の職場がリモート環境にある場合、”①「能力が高い」が「社交性が低い」人物”が選ばれやすいと判明。

2つの研究からわかること

採用経験のある担当者たちは、過去の経験からコミュニケーション能力を採用基準として持っているものの、リモートワーク環境では実務能力を重視する傾向が出たのです。

チャットや一時的なビデオ会議だけで完結するリモートワークでは、良好な人間関係や円滑なコミュニケーションから得られるメリットは最小限になることから、リモートの環境下においては、評価の基準が「仕事の質」や「早さ」、「正確性」だけに限定されるのも不思議ではありません。

そのため、リモートワークを望んで就職・転職する人は、面接を受ける際、人柄よりも能力に焦点を当ててアピールをすると、採用される確率が高まるのではないでしょうか。

反対に、経験の浅い既卒・第二新卒層にとっては、能力のアピールといった点で経験者に劣る面がどうしても否めないため、選考通過が難しくなることが想定されます。

また、弊社で取り扱うリモートワークが可能な求人でも、未経験の社員が最初からリモートワークができることはても少なく、数ヶ月~数年の経験を経て、実務的なスキルを身に着けてから、という求人が多くを占めています。

参照:ナゾロジー「リモートワーク化で採用基準がコミュニケーション能力より実務能力重視にシフトしている」
https://nazology.net/archives/122523
※引用元参考文献:PsyPost「Remote work increases recruiters’ focus on competence over warmth when making hiring decisions」
https://www.psypost.org/2023/02/remote-work-increases-recruiters-focus-on-competence-over-warmth-when-making-hiring-decisions-68395
※引用元参考論文:ScienceDirect「Applying for remote jobs? You’d better be competent! Teleworking turns recruiters attention to candidate competence over warmth-related skills」https://www.sciencedirect.com/science/article/pii/S0191886922005682

日本は国内的・世界的にもリモートワークの実施率が低い

世界のリモートワークの利用状況について

世界で「リモートワークを利用したことがある」と回答した割合は、中国では70%を超え、米国・ドイツでも60%弱という一方、日本では30%程度にとどまっています。

日本がリモートワークの実施が困難な理由として、「社内でのルールや制度が整っていないこと」が35.7%と最も多い結果に。

諸外国では、インターネット回線などの環境面や費用面が多く挙げられているのに対し、日本ではそれらの環境はある程度整っているものの、リモートワークの導入が進んでいません。

また、日本のリモートワークの利用状況を年代別にみると、若い年代の方が利用に積極的な傾向が強いことも判明しています。

利用率は、20代が35%程度と最も高く、「必要としていない」と考えている人の割合は20代が最も低いという結果となりました。

参照:総務省ホームページ「情報通信白書令和4年版」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd238220.htm

日本国内のリモートワークの利用状況について

  1. 20代のリモートワーク利用者は全体の約20%のみ
  2. リモートワーク実施率は徐々に減少傾向で、現在は17%の企業のみが実施

日本でもコロナ禍をきっかけに急激に普及したリモートワークですが、その実施率は少しずつ下がってきています。

2023年5月より、新型コロナウイルスを季節性インフルエンザと同じ5類に移行することが決まり、リモートワークの対象者や日数を減らしたり、元の働き方に戻すという企業も増えているようです。

公益財団法人日本生産性本部が公表する「第12回 働く人の意識調査」によれば、2020年5月時点のリモートワーク実施率は31.5%でしたが、その後は減少傾向に。2022年10月には17.2%となり、2023年1月には16.8%となりました。

参照:総務省ホームページ「情報通信白書令和4年版」
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r04/html/nd238220.html
参照:ヒューマンリソシア「テレワークの推移をデータ別に解説!実施率低下も従業員の継続意向は高め」
https://corporate.resocia.jp/ja/info/investigation/telework22

リモートワーク導入企業が既卒・第二新卒にとっては不利な理由

企業の実施率は低下する中、労働者のリモートワーク継続意向は高い

2022年後半以降、日本ではリモートワークの実施率が徐々に低下が見られる一方で、働く人は「リモートワークがしたい」というニーズが高いこともわかっています。

総務省公表の「第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」でリモートワーク実施者に対して行った調査結果によれば「継続したい」が43.7%、「どちらかといえば継続したい」が22.7%で、合計66.4%と半数以上の割合でリモートワークを継続したいと考えている人が多いという結果になりました。

さらに、総務省が公表した「令和4年版情報通信白書」で日本のリモートワークの年代別の利用状況を見てみると、すべての年代で10%前後の人が「生活や仕事の上で活用が欠かせない」と回答しています。

一方「必要としていない」という人の割合は、年代が上がるにつれて増加しており、リモートワークの利用率も20代が35%程度と最も高いことから、若い年代の方がリモートワークに積極的であることがわかります。

近年の働き方の多様化により、変化を続ける求職者の価値観や希望する就業条件。ワークライフバランスを重視した働き方をしたいと考える人も多く、仕事と私生活のバランスを取りながら快適に働くための手段として、リモートワークを望む人も増えてきているようです。

参照:「令和4年版情報通信白書 第1部 特集 デジタルで支える暮らしと経済」(総務省)
https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/html/nd123420.html

リモートワーク経験者がライバルに

ヒューマンリソシア株式会社が実施したアンケートで仕事を探す際に重視する点について聞いたところ、「リモートワークができる」と答えたのが、リモートワーク未実施者は9.0%、リモートワーク実施者は66.4%と、リモートワークを経験した人の多くが、リモートワークを重視した仕事探しをしていることがわかりました。

今後ますますリモートワーク実施率が下がる可能性があり、受け皿が小さくなる中、リモートワークを実施している企業は経験・スキルを求め、かつ、経験者もリモートワークを希望する方が多いため、経験・スキルでキャリア層に劣る既卒・第二新卒者にとって、リモートワークを重視した転職活動は不利である可能性が高いと言えるでしょう。

参照:ヒューマンリソシア「テレワークの推移をデータ別に解説!実施率低下も従業員の継続意向は高め」
https://corporate.resocia.jp/ja/info/investigation/telework22

出社勤務は既卒・第二新卒者に有利?

新型コロナの収束により出社を促す企業が増加

リモートワークの生産性に対する懸念の大きさ

都内企業のリモートワーク実施率は51.7%(2023年1月時点)。依然として高い割合ではあるものの、前回の集計結果よりは下がっており、リモートワーク勤務から出社勤務へ戻す企業も増えています。
※2022年12月の前回調査では52.4%

参照:在宅百科「テレワークは廃止?継続?アフターコロナにおける在宅勤務のメリット・デメリット」
https://zaitaku100.kokuyo.co.jp/work-style/512
参照:東京都ホームページ 産業労働局 報道発表資料「テレワーク実施率調査結果をお知らせします!1月の調査結果」
https://www.metro.tokyo.lg.jp/tosei/hodohappyo/press/2023/02/14/15.html

リモートワークから出社へ戻す狙いは?

リモートワークではなく「出社」に戻す国内企業の狙いとしては、やはりリモートワークへの対応が「緊急的なもの」であり、まずは働き方を正常なものに戻したいという点があります。

参照:indeed「在宅勤務にも課題がある?見出されつつある出社勤務の意義とは」
https://jp.indeed.com/career-advice/career-development/are-there-any-issues-with-working-from-home
参照:アイネットブログ「”テレワークの孤独”で若手をつぶさないために今すべきこと」
https://www.inet.co.jp/blog/work/telework2.html

リモートワークのデメリット・出社のメリット

既卒、第二新卒など、経験の浅い就職・転職希望者にとって不利な点としては大きく下記3点があげられます。

①コミュニケーション不足に陥る

リモートワークでは「メール」「電話」「SNS」「リモート会議システム」などを利用し、お互いに連絡を取り合うことができますが、業務上必要な会話以外が生まれにくく、通常出社と比べてコミュニケーション不足に陥る傾向があります。

社員間のコミュニケーションが慢性的に不足すると、信頼関係構築への障害となるだけでなく、記録化、言語化されていない微細な情報や表現の共有が難しくなり、業務パフォーマンスの低下を招く恐れがあります。

特に、若手社員の場合、入社後すぐにリモートワークとなり、直接対面してのコミュニケーションが取れず、信頼関係構築が上手くできないという状況に陥ることも考えられます。それに伴い、先輩や上司に相談できない、同期とも会えず、孤独感を抱き、心身の体調不良を引き起こすなどの弊害が起きる恐れも考えられます。

つまり、出社することにより、上司や先輩に直接質問ができ、直接フィードバックももらえる。同期との交流もあるため、孤独感にさいなまれず仕事に取り組むことができます。

 

②仕事とプライベートの線引きがあいまいになる
自宅での勤務ですと、勤務時間内にプライベートな来客や入電の対応をしなければならない場合があり、業務に支障をきたす可能性があるでしょう。
反対に、退勤後に帰宅する必要がないため夜遅くまで仕事をしてしまい、かえって業務過多になるケースも。生活リズムの乱れなどから、心身の体調不良を引き起こすケースも見受けられます。

つまり、出社することにより、メリハリをもって仕事に取り組める、周囲の目があるため、過度な残業をしたり、一人で業務を抱え込んだりする恐れが減少されます。

 

③業務効率、生産性が低下するリスクがある
リモートワークでは通勤時間などの無駄が省かれるため業務効率は良くなると思われがちですが、1人だけで勤務していると業務上必要な情報の確認や伝達に時間がとられ、業務効率の低下を招く可能性があります。また、社員で協力して業務にあたることが難しいため、業務内容によっては生産性が低下する恐れがあるといえるでしょう。

つまり、出社することにより、周囲にメンバーがいるため、在宅勤務時よりもスムーズな報連相ができ、また、先輩や同僚と協力して業務に取り組み、生産性UPに繋がります。若手社員がわからないことをそのままにしてしまうことも少なくなっていくでしょう。

出社勤務は、既卒・第二新卒にとってはメリットが多い

「リモートワークでコミュニケーション不足やストレスを感じる人は27.1%」という調査結果が出ています。
さらに「社内での気軽な相談・報告が困難」「取引先等とのやりとりが困難」と感じる人は、それぞれ3割超にものぼります。
こういったストレスは、既卒・第二新卒の孤独を生み出す一因になっているのではないでしょうか?

実際に、弊社でも「リモートワークをしているが、コミュニケーションが取りづらいことから仕事にも打ち込めない」とご相談にこられる方も多いです。

経験の浅い既卒・第二新卒の方は、コミュニケーションを取ることで、成長や育成によい効果があるのではないでしょうか。

参照:アイネットブログ「”テレワークの孤独”で若手をつぶさないために今すべきこと」
https://www.inet.co.jp/blog/work/telework2.html

まとめ

新型コロナ以降、メジャーになったリモートワーク。メリットがある反面、経験・スキルの少ない既卒・第二新卒層には、就業するうえでハードルが高く、デメリットもあるようです。

いきなりリモートワークの求人に絞ってしまうと厳しい現実もありますが、中には経験を積んでゆくゆくはリモートワークや多様な働き方が可能になる求人もあります。

既卒・第二新卒の方の就職、転職においては、まずは出社勤務が必要であっても、社内でしっかりサポート、フォローしてくださる会社で着実に経験・スキルを身に着けたのちに、自身が希望するリモートワークなどの働き方を目指すことが望ましいといえるのではないでしょうか。

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