【Vol.4】無責任な大人たち　-いい就職プラザ代表アキバの就職力アップコラム-

先日、とあるニュース番組で「3年で辞める若者たち」という特集があった。新卒入社し三年以内に早期退職する若者が増加している背景に何があるかを、早期退社した若者へのインタビューなどを通じ探ろうというもの。期待して見ていたが、結局「いまの若者は辛抱が足りない」「考えが甘い」というキャスターの説教で締められ、期待はすぐに落胆に変わった。

確かに、特集の中でインタビューに答えていた若者の考えは甘い。「それぐらい社会人になったら当然だろう」という事に対してグチともつかない不満を述べる。確かに彼らのような依存心の強い甘い考えの第二新卒者がいるのも事実である。しかし、そういった若者は第二新卒者の中の一部でしかない。企業側の無責任な採用活動や、過熱気味で短期化・早期化する就職戦線の中で、「大人たちの都合」によって翻弄されミスマッチに遭遇し、早期退職を余儀なくされている若者の存在にこそスポットを当てるべきだ。

このような「大人が反省すべき背景」には一切触れずじまいの浅はかで無責任な報道は、まじめにひたむきに就職活動を行う第二新卒者にとって迷惑千万このうえない。結局は制作者の「最近の若者は甘やかされて辛抱が足りんのだ」という結論ありきで、それをゴールに取材対象者が選ばれ、編集し放送されるのだろうが、もう少し問題の背景をしっかりと掘り下げ、大人たちはしっかりとその対策を考えるきっかけとなるものを報道すべきである。

私たちは日々、第二新卒や既卒者の就職支援活動のなかで、数多くの企業経営者にミスマッチに遭遇した若者の雇用を呼びかけているが、このような報道で「第二新卒＝辛抱の足りない若者」という間違った認識が蔓延するのなら、このようなマスコミの安易な放送は、報道被害といっても過言ではない。

「若者の問題」はすべて大人たちに原因があるということを忘れ、若者にその責任をなすりつける「無責任な大人たち」の存在がなくならない限り、若者を見殺しにする仕組みは改善されることなく、若者の雇用問題は何一つ解決しないのだ。